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で、本節では、それらを提示し、具体的にどのような市民活動支援政策を自治体が展開すべきかについて論じてみたい。
(1) 市民活動支援の基本的考え方
地方自治体が市民活動支援に取り組み始めた契機としては、自治体行政が公共サービスの提供を市民のニーズを充足する形で続けることが難しくなってきていることがある。高齢化社会の進展にみられるように、市民ニーズの総量に行政が追いつかなくなっていることもあるが、同時に行政が提供するサービスは、公平性を確保することに腐心するあまり、「先駆性」「柔軟性」「機動性」といった面で、市民ニーズに応えることができないということも指摘できる。企業も公共サービス提供に乗り出しているものの、利益が上がる分野でなくては、企業の進出も期待できず、市民生活の中で生じるニーズを充足するためには、市民セクターに期待するほかない。
もっとも、全体からみれば、行政が提供している公共サービスの方が圧倒的に多いのも事実であり、サービスの安定的な供給や安全性といった面で、市民の信頼をえている側面もある。
そこで、市民活動の利点を最大限活用するために、地方自治体が行える市民活動支援についての考え方としては、市民活動の利点を最大限活かすような支援政策を展開することが求められるであろう。そのためには、資金的、人的等の具体的な支援を行うに際してもいわゆる「ひも付き」ではなく、市民活動の自立性・自発性を損なわないような方法を考える必要がある。したがって、市民活動を行政の下請けととらえることがあってはならず、市民活動と行政のそれぞれの利点を活かし、それぞれの役割分担を行っていけばよい。そうした面から、市民活動と地方自治体が協働していくにあたっての基本的な視点を一般的に表現すれば、それはパートナーシップに基づく協働関係であるといえるだろう。
(2) 支援政策充実の方向性
上記の点から、市民活動支援のポイントについて整理しておきたい。市民活動を支援するに当たって、考え得る施策として、資金援助、情報提供、人材育成、活動場所の提供をあげたが、より具体的には、どのようなポイントを提示できるのであろうか。
(a) 資金援助
資金援助については、市民活動団体からの要望も多く、また、活動の成否は資金集めに



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